心象風景

なんですか、これ

【感想】『ミッション:インポッシブル デッドレコニング PART ONE』 -知らん敵キャラがイーサンのこと昔から知ってるマウント取ってきて怖い-

タイトルに「PART ONE」と書いていて偉い。

トム・クルーズが主演とプロデューサーを務め、トム自らスタントで体を張るアクション映画の最先端ミッション:インポッシブルシリーズ。その最新作ミッション:インポッシブル デッドレコニング PART ONE』が7月21日(金)に公開されました。
当初は2021年公開予定でしたが、新型コロナの流行により撮影が中断され延期。ようやく公開の目途が立ったところで同じくトム・クルーズ主演の「トップガン マーヴェリック」と公開時期がバッティングし、トップガンを優先するために再び延期。その後は再び新型コロナの流行により延期。ひたすら延期爆撃を受け続け、この度ようやく日の目を見たのが本作となります。
ついでに米俳優ストライキの影響でトム・クルーズサイモン・ペッグの来日が中止になったりもしている。この作品呪われてない?


正直、前作がだいぶ綺麗に終わったのでこれ以上やる必要ある?とか思っていたのですが、予告で「バイクで崖から落ちるシーン」を観た瞬間、「MIは最強のアクション映画!観るしかねぇ!!!うおおおおおおおおおおおおおおおお」と一瞬でMIシリーズファンの顔つきになってしまった。
MIシリーズファンになったということで公開日にIMAXで観ました。めちゃくちゃ久々にIMAXで映画観たので上映前の「ほら、ここから(ドゥンドゥドゥドゥ」「針の落ちる小さな音も……(チーン」とかいうIMAXドヤ映像にも興奮してしまったのはここだけの話。
そして映画自体も「大画面で観てね」というトムのメッセージ通り、大画面に見合った迫力を提供してくれたのでIMAXで観てよかったです。


あとは何と言っても今作は前後編の前編。タイトルに「PART ONE」が付いているのが優しい。
しかし前編からバイク崖ダイブはぶっ込むなぁと思っていたらどうやら「トムに何かあったら速攻お蔵入りしてコストを最小限に抑えるために初日に撮影を行う」という最強のリスクマネジメントをしていたとのこと。どうかしてる。

theriver.jp

 

感想

ストーリー・展開

ベーリング海でロシアのAI搭載最新潜水艦「セヴァストポリ」が魚雷撃ったら目標消失した挙句に魚雷が戻ってきて自爆。
この時点で「お、おもしれぇーーーーーーーーーーーーーーー!」となった。冷静に考えれば、お馴染みのキャラクター一人も出てきてないし何が起きたのかよく分かってないのに既に楽しくなっている。これが俗に言う"IMAXマジック"である。たぶん今ならトム・クルーズが箸を転がしてる映像だけでも笑える。それは普通に面白いだろ。
というわけでこの潜水艦から所有者ごと海に放り出された"鍵"が今回のキーアイテムです。


ざっくりした話の流れ。
なんか鍵を持っているイルサ・ファウストから鍵を回収せよというミッションを受けたイーサン・ハント。イルサには懸賞金がかけられており、アラビアの砂漠にて銃撃戦の末イルサは死亡。ということにして実は生きてる。
アメリ諜報機関暗黒会議に潜入したイーサンは、そこで件の鍵が重要機関にすらハッキング可能な自立型AI「エンティティ」を管理するものであること、鍵は2つで1つであること、各国が鍵を狙って争奪戦をしていることを知る。イルサに懸賞金をかけたことにぶちぎれているので上司のキトリッジに反逆、そして独断で行動を開始。いつもの。
もう一つの鍵を手に入れるため、IMF(Impossible Missions Force)の仲間であるベンジー・ダン、ルーサー・スティッケルと共にアブダビ空港で鍵を回収しようとしたらスリの女グレースに翻弄され鍵を持って逃げられる。
その後はグレースを追いかけローマへ。早速グレースを捕らえてカーチェイスをした挙句また逃げられる。
前作でひと悶着あったホワイト・ウィドウことアラナ・ミソポリスや知らん因縁の相手ガブリエル、知らんCIAの諜報員2人が入り交じり介入してきたエンティティに翻弄され、イルサが死亡してしまう。
グレースに協力させ、アラナとキトリッジの鍵取引の現場に介入。鍵を奪取するがガブリエルの暗躍により列車は暴走。バイクで崖から飛び降りて列車に突入したイーサンは戦闘の末、ガブリエルに逃げられる。
列車の最前を切り離して暴走を止めるが、ガブリエルにより橋が爆破され、次々と落ちる前の車両から後ろの車両に逃げるイーサンとグレース。間一髪のところでガブリエルの仲間だったヒャッハー系の殺し屋パリスに救われる。どうやらローマでイーサンに命までは奪われなかったこと、列車でガブリエルに裏切られたことで改心したっぽい。
ガブリエルには逃げられたが、鍵はちゃっかりスっていたイーサン。グレースはIMFに加入。今回のミッションは完了。
というところでパート1終了。


情報が多すぎる。
様々な勢力が入り交じり、それぞれの思惑や思想があり、更に新キャラも多いという情報の氾濫っぷり。ミッション自体は「鍵を回収すること」という単純なものだったけどそれを取り巻く要素が複雑すぎた。面白かったけど情報整理で手一杯だったというのが正直な感想。
前作でも少し感じていたけど、更に複雑化してくるとは思わなかった。このシリーズの悪いところになってほしくないので、次回作は難しくともその次くらいでは改善してほしい。アクション映画なのだからアクションに集中できるような作りにするべきだと思う。


でもやはりアクションは流石の迫力だった。
ローマでのグレースと手錠で繋がれながら慣れないフィアット500ではちゃめちゃな運転しながらのカーチェイスは笑えて良かった。情報量多いカーチェイスだな。
列車の上での格闘戦も流石の臨場感。いつマッツ・ミケルセンが顔を出して構造物にぶつかるか気が気じゃなかった。
落ちる列車からの脱出劇なんてもう手に汗握るシーンでした。どこまで上がればいいのか分からない不安、そして落ちてくる落下物。調理用油に対してあそこまでふざけんなよ!という気持ちを抱くことは今後無いと思う。
あとこの列車、今回の撮影用に一から作ったらしい。なので橋の上から列車を落とすのもマジでやってる。バカのやる事じゃん!!!!!!好き!!!!!!!!!!!!!!!!!
そして何と言っても今作の目玉であるバイクFly Away。ミッションの計画として覚悟の上で決行するのかと予想していたら全然違ったしその経緯で笑いました。

 

ガブリエルが列車を暴走させたせいでイーサンは列車に乗り込むポイントへの到着が間に合わず、急遽ベンジーが別ルートに誘導。
イーサン「ベンジー、着いたぞ。次はどこへ行けばいい?」
ベンジー「……そこだよ」
イーサン「ここは崖だぞ?冗談だろ?」
ベンジー「パラシュートがある。お前ならいける」
イーサン「いやマジで死んじゃうベンジー頼む他のルートを探してくれ」
ベンジー「分かってるよオレだっていっぱいいっぱいなんだよォ!!!!!!!」
イーサン「」

 

結果的にそれしか方法が無かったとはいえブチギレたベンジーに押し切られて決死のダイブ決めるとは思わないでしょ。でもキレたベンジーに驚くイーサンはちょっと可愛かった。


あと今回割とショックだったのがイルサ死亡です。
ローグ・ネイションから続投しているキャラで思い入れもあるし、前作ではベンジーを助けるために必死な姿はもはやIMFの仲間と言えるものでした。前作でのアラン・ハンリー長官の死も結構ショックだったのでこれ以上仲間を失ってほしくなかったのに。
ヒロイン枠はグレースに引き継がれたけどイルサの代わりになれるほどの魅力は感じられないというのが本音。成り行きでミッションに加わったただの凄腕スリだし、元MI6のプロであるイルサと比べたら不安なレベル。今回のラストで覚悟は垣間見えましたが、次回以降どう成長していくんでしょうね。
お馴染みのキャラが次々と減っていくのは寂しいので次回こそブラントには復活してほしい。ジェレミー・レナーもうこの際ホークアイの恰好でいいから駆けつけてくれない?

何も分からん

今作が難しかった理由の大部分がこれです。とにかく色々な要素がふわふわしていました。私の理解力が低く読み取れなかったとかではなく、作品内で情報が開示されないまま物語が進んでいくということです。
これはタイトルの「デッドレコニング」から見るに、元よりそういう作りなのでしょう。デッドレコニングとは、「過去の位置を起点とし、コンパスや測定器を用いて現在の位置を推定する航法」という航海用語。要は今回の物語は何もかも不明確なままミッションを遂行していく話というわけです。
鍵の用途がはっきりしない。敵が誰かも分からない。敵の目的も分からない。イーサンの過去も分からない。敵との因縁も分からない。もう何もかもよく分からないまま、複数勢力の思惑が交差して物語が進んでいきます。そりゃあ話もややこしくなる。
そして大体のことは次回に持ち越されることになったので結局分からないままです。分作にするならイーサンの過去くらいはもう少し開示してほしかった。イーサンとガブリエルがなんかお互い何かあった雰囲気出す度に「目の前で友達とその友達が自分の知らない昔の話題で盛り上がってる」みたいな気持ちになってしまう。
ここまで言っておいて私の理解力が低いだけだったら恥ずかしすぎますね。この記事は読み終わったら5秒後に消滅するようにしておきます。

その他雑な感想

データを紙に書き出してるところ、現実よりも技術力の高い世界とは思えないくらいパワープレイしてて面白かった。


"エンティティ"が字幕(翻訳:戸田奈津子)では"それ"と訳されてたけどちょっとどうなの。


今までラスボス級だった核兵器が序盤のボスくらいの扱いになってて噓でしょ!?と思ったら嘘でした。


ワイルドスピードに続いてまたローマがカーチェイスで破壊されてて笑っちゃった。直近でそんなネタ被りすることあるんだ。


装甲車に乗って追いかけてくるパリスが世紀末度高くてめちゃくちゃ良かったね。


過去から知らん因縁の相手が生えてくるの、ワイルドスピードで見た。


イーサン、超人だからインポッシブルなミッションをこなせてしまうだけで相変わらず性格がスパイに向いてない。


こちとらこのシリーズを7作も観てきてるのになんかIMF加入前のイーサンのことを知っているらしく意味深な事ばかり言うガブリエルとかいう敵キャラ。嫌な幼馴染かよ!くそっ腹立つ~~~~~~~~~~~~~~!!


セヴァストポリの場所を教えて死んだ人、存在意義ある?


後編へ続く!ワイルドスピードで見た!!!!!

まとめ

ワイルドスピードとシンクロしてる!
2ヶ月前に公開された大作アクションと色々被ってたのは流石に笑いました。この調子でイルサが実は生きてた!とかやっても文句言わないから蘇らせてくれ。
感想にも書きましたが、とにかく情報量が錯綜する内容で画面に集中しきれないという欠点がありましたね。まぁ鍵を追いかけてることさえ分かればあとは雰囲気でいける気がしないでもないですが。でもやはりアクション映画らしくもう少し話は単純にしていいと思う。
アクションに関してはたぶんシリーズで一番派手だったと思います。ただ、予告やCMで見せすぎだったのではとも思いました。私は上映前の予告やテレビCMのような勝手に目に入ってしまうもの以外は、できるだけ事前に情報を見ないようにして映画を観ます。その程度の情報だけでも今作の見せ場をほとんど見せてしまっていたので、次はもう少し隠してもらえた方が助かる。
あとは犠牲者が出てしまった事。フォールアウトで折角イーサンの行いがようやく肯定されたのにここで死者が出てしまったのは悲しい。後編では救いが用意されていることを期待します。
ガブリエルもお前、イーサンの元カノみたいな面してられるのも今だけだからな!覚悟してろよ!
後編は来年6月公開予定とのこと。一年後!待てる!!と思ったら全米俳優ストライキにより延期しそうです。この映画だけの話に留まらず全ての映画に言えることですが。俳優の立場がAIに奪われるという話は私も映画を観る人間としてあってはならないと思いますし、今回のストライキが良い結果を得られるよう願っています。
あれ、ということはワイルドスピードの続編はいつになるんだ?スパイダーバースは?考えたら怖くなってきた。

 


ついでなので好きなMIシリーズ作品を書いておきます。


ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション
息をつく間も無い展開と体を張ったアクションの連撃。
イルサ初登場。
バランスが一番良い。


ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル
ミッション内容というか潜入アイテムが一番面白い作品。
ベンジーが本格的に参加するのはここから。
ブルジュ・ハリファに登る。


ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE
この記事の作品。
なので特に書くことは無い。
アクションが一番凄い。

 



 

 

 

 

 

 

 


IMAXの入場特典で貰ったポスター、格好良いなぁと思って眺めてたら左手見て笑った。