心象風景

なんですか、これ

【感想】『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』を観たらグルート語検定1級を取得できた

This is the way.

 

 

かつて隆盛を極めたMCUも今や完全なる下火となりました。
私の脳内小学校でもMCUとか古いよなァ!我らの道!我らの道!」とマンダロリアンが大人気です。
最近では『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』の大ヒットによりゲーム原作映画の流れになりそうな雰囲気まで出てきています。
そんな中公開されたのがガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(以下GotG)シリーズの最新作です。
これがめちゃくちゃ面白く、フェーズ4のMCU作品に足りなかったものがたくさん詰まっていました。
言わば今のMCUに一石を投じた、いや、もはや一ミサイルを発射したと言えるでしょう。私の脳内小学校は無事に灰燼と化しました。
「我らの道」しか言えなくなっていた人たちは「『I am Groot』しか喋れなくなっちゃったw」とか言ってますし、むしろ普通に喋ってます。
やっぱ全米1位の興行収入を記録したMCUは格が違うなー!と手のひらが10億回転するほど。

 

 

え?全米1位は『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』???

 

 

 

 

マジか。

 

MCUも気付けばフェーズ5に移っていました。

フェーズ4では怒涛のドラマシリーズ展開にマルチバース、そして知らんヒーローが続々と出てくる始末。脱落者が続出するのも頷けるほどのスピード感。かく言う私も知らんヒーローまでは追いかけられませんでした。シャン・チーは面白いらしいのでそのうち観たい。
『ブラック・ウィドウ』『ドクター・ストレンジ2』『ソー:ラブ&サンダー』『ブラックパンサー:ワカンダ・フォーエバー』とお馴染みのヒーローが主題の映画もありましたが、どれも傑作には届かないという印象です。もはやエンドゲームで見せた熱狂は過去のものとなりました。
そして今年2月に『アントマン&ワスプ:クアントマニア』を皮切りにフェーズ5が開幕。こちらも物足りない一作となり、スタートダッシュは失敗と言っても過言ではないでしょう。
そんな不安蔓延る空気を払拭したのが『GotG:Vol3』です。

GotGシリーズは私がMCU作品の中で最も好きなシリーズで、1作目を観た時の衝撃はMCUでトップクラスでした。何度も観直したりブルーレイやサントラを買ったりするほどのお気に入り作品です。
しかし、私の中ではMCUは今や下火のコンテンツであり、GotGも例外ではなく興味が薄れていました。なので数年前だったら公開日に観に行っていたところですが、今作は気付いたら公開していたので暇を見て観に行ったという期待感も何もない流れです。一応事前に『ホリデー・スペシャル』は観ていましたけど。
で、いざ観てみればそれが前2作にも劣らない面白さ。久々にMCUで心が熱くなりましたし、公開初日に観に行かなかったのを後悔しました。
せっかくの近年稀にみる映画体験です。こういうのをどこかに残しておきたいんだよなぁ。
ブログがあるじゃん。
書くか。

 

感想

ストーリー編

檻にいる一匹のアライグマからロケットへ。そう、今作の主役はロケットです。
しんみりとしたオープニングから今回は何かが違うことが窺えます。「あのお騒がせチームが帰ってきた~!(ナレーション:山寺宏一)」みたいなノリで観に来たので割と困惑した。
舞台は復興済みのノーウェアから始まりますが、このあたりはホリデースペシャルで描写済みですね。観ていなくても会話と雰囲気から概ね理解できると思う。
かなり落ち着いたスタートです。こちらも力が抜けそう。なんか宇宙から飛来してきてるけど。
このまま日常を通してロケットの内面に踏み込んドッゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!
うおおおおおおおこれだよこれ!!!展開を動かしたい時はとりあえず爆発を起こすか何かを高速でぶつければいいと『アクアマン』が言ってました。
突如現れたアダム・ウォーロックの襲撃によりロケットは重傷。アダムをなんとか撃退しましたが、ロケットの身体は治療パッドで救命しようにもパスコードでロックされていて治療できないという非常事態に。
こうして今回のミッションは「ロケットを救うこと」になりました。主役かと思ったらいきなり死にかけるのはびっくりしましたね。

話の構成としては「ロケットを救うために奔走するガーディアンズ「死にかけのロケットが回想する過去」の同時進行となります。
このロケットの過去が本当に惨い。
今作のヴィランハイ・エボリューショナリーによる命を弄んだ動物実験の数々やロケットの扱い。このあたりの描写は本当に悲惨なので人によってはかなりキツいと思う。私も動物が大好きな人間なのでかなり堪えました。
そしてガーディアンズ達。ロケットの技術の出自というオルゴスフィアへ向かい、途中でラヴェジャーズの一員となったガモーラが仲間に加わります。
まぁ今回も相変わらず喧嘩しながら進むんですが、これがちょっと今までと毛色が違う。ロケットが死にかけ、ガモーラはガーディアンズに関係無い別人、クイルは以前のガモーラを引きずってメランコリー状態。ロケットの過去描写も相まって、余裕の無い状況での喧嘩はこちらもかなりハラハラします。このあたりドラックスとマンティスのギャグがマジで癒し。雰囲気を陰鬱にしすぎないための、効果的なギャグの使い方だったと思います。やりすぎてコメディにもなっていませんでしたし。聞いてるか?ラブ&サンダーお前に言ってるんだぞ?
この後はオルゴスフィアで一騒動あったり、パスコードが消されていてハイエボリューショナリーのお膝元に向かうことになったりします。正直言うと気持ちはまだ乗り切れませんでした。面白くないというわけではなく、単純に内容が辛いんですよね。GotGと言えば楽しくてノリノリな展開、というイメージがあったので真逆の内容に「思っていたのと違う」が出てきてしまいました。この作品も最近のMCUと同じかと。
まぁそんな懸念はここからの展開で無に帰すわけですが。
ハイエボの施設に潜入したクイルとグルートの大暴れ。ここの銃撃がクッソ格好良い。多数の銃を扱うグルートと背中合わせに銃を撃つクイル。無事パスコードを手に入れ、初めてハイエボに一矢報いたこともありテンション急上昇です。
ついにロケット復活のシーン。あと一歩のところで間に合わず、ロケットの心臓は止まってしまうのですが、生と死の狭間でかつて実験動物として共に過ごした友達のライラ、ティーフ、フロアと再会します。ライラは「あなたにはやるべきことがある」とロケットを説得し、ロケットの意識は再浮上。
ははっ、ベタな展開~と思いながら泣いた。
ロケットとライラ達の関係は劇中を通して感情移入できるほどに描写されていますし、ガーディアンズとの絆は言わずもがなです。クイルの必死な心臓マッサージ、ロケットの蘇生に大喜びする面々、そして涙を流すネビュラ。
結局見覚えのある展開だろうが見せ方次第、描き方次第なのだとこの映画は教えてくれました。「○○すぎて泣いちゃった」とはよく言いますが、事この映画に関してはマジで泣いちゃった。
そして最終局面の大逆襲劇。
待ちに待ったガーディアンズ勢揃いにより一気にGotGらしさが戻ってきました。溜まりに溜まった鬱憤を晴らす爽快感はあの鬱屈な描写あってのこと。ジェームズ・ガン監督は感情の揺さぶりが本当に上手い。無限にこの映画の評価が上がっていく。
通路での戦闘はこの作品で観たかったものが詰まっている。ノリノリな音楽と共に各キャラが敵をバッタバッタとぶっ倒していく気持ち良さ。最高。これに尽きる。
ノーウェアでの戦闘もクラグリンがヨンドゥの幻を見て覚醒。ヨンドゥ出しておけばファンは喜ぶと思ってるだろ。その通りだよ。
実験で生み出された子供達を逃す中でロケットは実験動物達と対面し、自身が北米産のアライグマであることを知ります。ゴミパンダのことも教えてあげたい。
からの因縁のハイ・エボリューショナリーとの会敵。「俺はロケット・ラクーンだ」は感動必至の名台詞。最初に登場した反重力ブーツが反撃の起点になるのも好き。全員でボコるのも良い。ハイ・エボリューショナリーをボコるシーンだけでご飯30杯はいける。
そのあと動物たちを逃がすのも良かった。あれだけ動物虐待描写をしておいて助けなかったら台無しだなぁと思っていたので。前作で惨たらしく駆除したアビリスクでさえ救助の対象なのも良い。ただ動物を助けるだけではなく、助けることでロケットの無念が晴らされる構図も良い。もう「良い」しか出てこない。良いもの出してくる方が悪いだろ。
あと逃げ遅れたクイルが宇宙空間で死にかけるところ、アダムが助けに来た瞬間にアダムの創造になるの感動すればいいのか笑えばいいのか分からなくて心がふたつある~になった。
みんなが生還したクイルに抱きつくところにそっと加わるアダムが「なんだこいつ」みたいな目で見られてて流石に笑った。ガモーラだけ離れて見守ってるのも完全にわかってる。ジェームズ・ガンはGotGのこと何でも分かってる。こんなにGotGの理解度高いジェームズ・ガンって何者?
そしてクライマックス、それぞれがそれぞれの居場所を見つけるシーン。クイルは祖父のもとへ、ロケットはガーディアンズの新リーダー、ネビュラとドラックスはノーウェア、マンティスは旅立ち、ガモーラはラヴェジャーズに帰宅と。最終回か?最終回だった。
GotGと言えばダンス。今回は無いのかと思ったら最後の最後でノーウェアでみんなが踊るシーンがありました。クイルやガモーラはいないけど、あのドラックスとロケットが踊っています。頼むからこれ以上泣かせないでくれ。映画館が水族館になってしまう。
ガーディアンズはロケット、グルート、クラグリン、コスモ、助けた子供の一人ファイラ、アダム・ウォーロック……。
アダム・ウォーロック!?!?!?!?
なにしれっと加わってるんだ。新ガーディアンズの戦力増強されすぎだろ。最後だからって何やってもいいわけじゃないぞ。責任持って新ガーディアンズのドラマとか作れ。作ってください。
ロケットも殺されかけたのに心が広すぎる。まぁ元はと言えばロケットがソヴリン人から電池を盗んだのが原因……(文句言えねえ)。アダムも見た目は大人、頭脳は子供の逆コナンです。プリキュアとか観て健やかに育ってほしい。
あとアダムのペットのあいつも加入しています。こいつ地味に可愛くて好き。
最後は新ガーディアンズが音楽談義をしながらZuneでロケットお気に入りの音楽を流して終了。
Come and Get Your Love
さ、最終回で初期オープニングを流すやつ~~~~~~~~!!!!!!!
全オタク、いや全人類、いや全宇宙の生命体、いや全宇宙の有機物、いや全宇宙の物質が大好きなやつです。GotGの思い出がぶわぁっと湧き上がってきて……死んだ。こんな完璧なラスト存在していいのか?完璧を否定した映画が完璧で恥ずかしくない?私は誇らしいよ。誰だよ。

ちなみにエンディング後のオマケ映像はクリス・プラットの咀嚼音ASMRでした。ここが天国か?

 

キャラクター編

まずは今回の主役ロケットから。
ロケットの過去が語られたことによりその悲惨な背景を知ることとなりました。
想像以上に身勝手な実験と惨い扱い、そして被害動物の数々。この映画を見てロケットに同情しないわけないです。実験動物仲間のライラ、ティーフ、フロアも救われない最期を迎えるという、非常に辛いトラウマまで抱えていました。それを思うと、1作目でグルートを失った時やインフィニティ・ウォーでガモーラを失った時、ガーディアンズが消滅した時の心情には新たな文脈が加わります。そりゃあエンドゲームで仲間のために奮闘するわけですよ。
過去作で仲間を救い、今作では自身が救われ、ハイ・エボリューショナリーの被害者を救い、自身のルーツを目の当たりにしてようやくロケットは「ロケット・ラクーン」として前に進むことができました。それはハイ・エボリューショナリーにとどめを刺さなかったこと、初めてダンスを踊ったこと、好みの音楽を見つけられたことからも分かります。
今作では終盤まで死にかけていたのでロケット不在の展開は寂しくもありましたが、復活後のカタルシスにも繋がっていて結果的には良かったと思います。

 

次は我らが伝説のスター・ロード、ピーター・クイル。
ラブ&サンダーとホリデースペシャルの元気さはどこへ行ったというくらい落ち込んでてちょっと面白かった。
前作で既に過去との因縁に決着済みですが、今作では現実とうまく折り合いがつかず前に進めないという状態。原因はガモーラの死、そして別人のガモーラの存在。
なんだかんだでガモーラを別人だと認めますし、ロケットが過去との因縁を断ち切って前へ進んだことで自身の生まれに向き合う決心がついたらしく、故郷である地球へと帰っていきました。
私も地球の家族のことは気がかりだったのでちゃんと帰れて偉いと思いました。地球では無職のおっさんですけど。

 

みんな大好きネビュラについて。
もう昔のキャラを思い出せなくなりそうなくらいガーディアンズの一員で仲間想いだった。
ロケットの窮地に誰よりも必死で、ロケットの復活に誰よりも喜んでいました。そりゃあそうですよね。指パッチン事変での生き残り同士だし、絆が深いわけです。
あとロケットがいなかったせいでガーディアンズ内のバランサーになったり、ツッコミを一手に引き受けたりでめちゃくちゃ苦労していたのが面白かった。
ガーディアンズから抜けたみたいなので今後は今までの心労分、存分に人生を謳歌してもらいたい。

 

ガモーラについて。
今作のガモーラは前作とは別人ですが、元々ガモーラはガーディアンズの中では過去に囚われず前に進む性質のキャラでした。それがサノスの呪縛から完全に解き放たれ、ガーディアンズとの関係もほとんど無いガモーラはマジで自由奔放。
ガーディアンズの事情とか関係無しに好き放題、するわけでもなく割と情には厚かった。これもガモーラが元々持つ性格です。ロケットの事をどうでも良さそうに振る舞いつつもなんだかんだでロケットを救うことに尽力してくれたり、その場のノリで最終決戦に参戦してくれたり、ハイ・エボリューショナリーをボコる時は容赦無く決めてくれたり。結局良い人なんですよね。
最終的にクイルと恋人に収まるわけではなく、このガモーラはガモーラでラヴェジャーズという居場所に帰っていったのも良かったです。個人の尊重という今回のテーマの一端を担ったキャラでもありました。
それと剣での戦闘が格好良すぎ。この調子でスター・ウォーズに出張してほしい。

 

ドラックスについて。
新しい居場所を見つけて、家族の仇のサノスは倒して、じゃあ今回はどうする?
"破壊者"ではなく"父親"に戻ります。満点回答。
重い雰囲気続きの今作ではドラックスのボケが本当にいい清涼剤だった。
ホリデースペシャルからマンティスとの関係は完全に父娘だったし、復讐が終わった以上父親の性質を戻すのは納得しかない。
最後にようやく踊れるようになったのはロケットと並んで最高の一幕でした。

 

ホリデースペシャルでクイルの妹と判明したマンティス
エゴから解き放たれた彼女は完全に無敵。
地球ではやりたい放題だったけど今回はクイルとドラックスのサポートとして非常に優秀だった。
今回の事件を通して思うところがあったのかガーディアンズから離脱。完全に娘の一人立ちである。
アビリスク3匹連れて街を歩く様は今から事件を起こす予感しかしない。絶対起こすだろ。

 

グルート
反抗期も終わってすっかりデカくなりました。戦闘もサポートも何でもこなすオールマイティ。首だけになっても復活します。もはや味方の設定じゃないだろ。
最後に「I am Groot」の意味が理解できるようになった演出は最高の演出。
あと最後の姿には思わず「でっか!!!!!」って言っちゃった。

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クラグリンコスモ
最初から最後まで喧嘩してたし、最後はなんか成り行きで仲直りした。
え、なに見せられてんだ?惚気?と思わなくもない。
クラグリンの覚醒はヨンドゥ抜きでもクッソ格好良かった。
そして宇宙犬コスモ。ホリデースペシャルでちゃっかり仲間になってる犬。ホリデースペシャル見てなかったら何も分からないと思う。私もホリデースペシャル見た時に「なんか知らん犬おる!」となった。実は1作目にコレクターのところの犬として出てきていたけどすっかり忘れていました。
コスモは地味に最終戦のMVPでしたね。念力で脱出ルートを繋げてガーディアンズと実験体達を救いました。コスモ自身が実験動物だったことを考えれば、テーマに沿った深い意味のあるキャラクターだったと思います。
あとどうやら吹替版だとCV悠木碧らしい。ただでさえ可愛い犬が更に可愛くなってしまう。そんなんもはや違法だろ。

 

アダム・ウォーロック
最初は何の脈絡も無い新キャラだと思ってましたが、途中でそういえば前作の最後に示唆されてたなと思い出した。
コミックスの方ではめちゃくちゃ強いヴィランらしいですが、今作のアダムは見た目は大人、その実生まれたばかりの赤ちゃんです。
純粋な存在で善悪の区別もつかず、母親のアイーシャの命令に従うだけの存在でした。しかし途中でブサカワな生き物の飼い主となったり、母親を失ったり、グルートに命を救われたりして自我を育んでいきます。
「自身の居場所を見つける」というあたりはクイル達が1作目で通った道と重なります。彼にとっては今作が1作目であり、物語はこれからも続くのでしょう。俺たちの戦いはこれからだ!本当にそういう終わり方した。
ついでにソヴリン人の女王アイーシャ、上司に詰められた挙句爆死して流石に可哀そう。

 

最後に今作の立役者。
みんな大嫌いなロボコップ野郎。
全員のヘイトを一手に引き受けた稀代の名ヴィランハイ・エボリューショナリーについてです。
ロナンのように惑星を滅ぼすほどの強大な力を手に入れたいわけではなく、エゴのように宇宙を支配しようとするわけでもなく、ただ完璧な生物を作りたい。そしてそいつらの上に立ちたいという。要は完璧な存在の頂点ならそれは紛れもなく"神"、その神に自分はなりたいと。
小さい小さい。
やってること自体はデカいけどスケールが小さい。小物of小物。でもそんな小物でもその行いは極悪非道そのもの。動物を用いた実験の数々は見ていて嫌悪感しか抱きませんでした。
そんなハイエボを表現するのがチャック・イウジ。キャラ性だけでも最悪なのに演技が迫真すぎて頭頂部からつま先までハイエボのこと嫌いになれる。ロケットの泣き真似煽りとかヤバい。思わず純粋な「○ね」が出てきてしまった。
ラブ&サンダーのゴア・ザ・ゴッド・ブッチャーやクアントマニアのカーンなんかは演者の力量に頼りきりでキャラ描写がついていっていない印象でしたが、ハイエボリューショナリーは両方が揃っています。揃った結果みんなに嫌われる最悪のキャラクターになりました。もちろん良い意味で。
そして最後は自身の望む完全な生命体は得られず、部下からも裏切られ、ロケットに見下されるという惨めさも備えているのも良いところ。格の低さと悪役としての完成度は同時に成り立つ。これは今後の悪役像にも影響を与えてほしい。
でもカーンはもっと格を高くしてもいいと思う。

テーマ編

個人の尊重、自分らしさ。
最近多い気がします。今年の映画ドラえもん のび太と空の理想郷』も同じようなテーマでした。というか敵の思想まで被ってました。関係無い作品がここまで被ると流石に笑う。
ただ、それがありきたりな話で終わったわけではなく、ロケットの過去や別存在のガモーラなどを通して作品を語るうえで大切なテーマとして成り立っています。
ロケットは自身のルーツを認め、クイルはガモーラを別人と認め、ガモーラは自分の居場所を見つけ、ドラックスは父親に戻り、マンティスは目標を見つけ、アダムは自分の意志を持ちました。
キャラクター一人一人が歩んだ軌跡にテーマが宿っています。ここまで真摯に向き合った主題ならば、もはや流行りに乗ったテーマとは言えないでしょう。完敗です。何と戦ってたんだ。

 

もう一つはGotGを通してのテーマ。1作目では過去からの解放と新しい居場所見つけること、2作目では今の居場所を知ること、そして今作では未来へ進むことを描いていたと思います。
孤独を抱えたアウトロー達が集まって家族になり、ときには喧嘩をして絆を深め、最後には巣立っていく。こうして見ると物語として綺麗ですよね。3作品で一貫性を保って終われた事こそ、この作品が最高である所以かもしれませんね。

ちょっと真面目に話しすぎてアレルギー出てきたので感想はこのあたりで終わります。

まとめ

GotG3が最高だったのはもう十分書いたので分かると思うんですが、じゃあ今後のMCUはこのまま期待できる?と言われると言葉に詰まってしまう。
フェーズ4はマルチバースの特性上ゲストが多く、そこに作品パワーが引っ張られてしまっているという印象でした。
スパイダーマンNWHなんかはファンとしては大感激でしたが、MCUの一作として正当に評価できるかと言うと微妙なところ。8割くらいチート使ったようなものなので。
ドクターストレンジMoMも面白かったけどワンダの話だった上にゲストが話題持って行ってたのでもう少しマルチバースメインの話を展開してほしかったなと思いました。
ワカンダフォーエバは事情が事情だけに言及しづらいですが、フェーズ4の中では満足度高い方でした。ネイモアは結構好き。
ラブ&サンダーは色々と反省しろ。
ドラマの方は『ワンダヴィジョン』『ロキ』『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』『ホークアイ』と観ましたが、『ロキ』を除けば特筆すべきようなものは無いかなといったところ。面白かったけど別に観なくても良かったなとも思いました。観る方としてはそこそこのクオリティの作品が次々と作られるより、時間をかけてもすごく面白い一作を作ってくれた方が満足します。
『ロキ』は面白かったしマルチバースサーガの根幹なので必見作品です。まだ観ていない人は是非観てほしい。シーズン2もこの夏配信らしいです。
そしてフェーズ5の開幕、クアントマニア。これは何とも言えませんでした。つまらなくはなかったんですけど、アントマンに背負わせるスケールの話ではなかったかなと。アントマンはやはりスケールが小さいながらも重要な活躍ができるというポジションが似合います。カーンの本格登場回ならドクターストレンジとかの方が相応しいんじゃないですかね。
とまぁフェーズ4の感想みたいになってしまいましたが、せっかくGotG3がめちゃくちゃ面白かったことですし、フェーズ6のアベンジャーズに向けてMCUには頑張ってもらいたいです。
ただジェームズ・ガン監督は今作でMCUから抜けますし、GotG3の良かったところを活かしてもらえるかは不安なところ。とりあえず11月の『ザ・マーベルズ』までに『ミズ・マーベル』観ておきます。

 

実はそれより8月の『アソーカ』が結構楽しみだったりする。
我らの道。

 

 

 

 

 

 

 

 

GotG一作目観返したらグルートが何言ってるのか分からなくて泣いた。